玉を持つ神使
三室戸寺の牛・兎は玉石を持ち、竜は玉(ぎょく)、狐と蛇は宝珠、兎は鞠(まり)、猿は桃を持っています。
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三室戸寺(みむろとじ) 京都府宇治市莵道滋賀谷21
宇治市の三室戸寺は、本尊は千手観音、西国三十三箇所第10番札所で、四季の花の名所とし知られます。寺の本堂の前に「宝勝牛」と呼ばれる牛像と「福徳兎」と呼ばれる兎像があります。牛は「牛玉」を、兎は「卵石」を持っていて、この玉石に触るとご利益が授かれるとされます。
「富右衛門というお百姓は、痩弱な牛を連れては三室戸寺の観音詣をしていましたが、あるとき、牛が境内で玉(牛玉)を口から吐き出しました。するとその後、牛は元気に大きく育ち、闘牛で勝って賞金を穫るまでになり、富右衛門はその賞金を元手に牛の仲買で成功して大金持ちになった」と、伝わります。(参照:三室戸寺のHP) 「宝勝牛」と名付けられた牛像が本堂の前にあります。牛の口中にある玉(牛玉)を撫でると勝運がつくといわれます。
牛の口中の玉石 (牛玉) 宝勝牛
三室戸寺のある地域は古来より菟道(うじ)と称されました。仁徳天皇の弟の菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)が宇治にやって来た際に道案内をしたのは兎だったとの伝承があります。また、三室戸寺所蔵の摩尼宝珠曼荼羅や文書に記されている生身不動明王は、月を人格化した明王で、足下に兎の姿があるそうです。(参照:三室戸寺HP)
このような兎との縁に因んで、「福徳兎」像が本堂前に置かれました(2010年2月)。 兎が抱えている大きな球の中に卵形の石(卵石)があり、穴に手を入れてこの卵石を立てることができれば、運気が上昇し、足腰が健全になるといわれます。
福徳兎 球中の玉石(卵石)
ウサギ(卯)とたまご(卵)にどんな関係があるのでしょうか。卯(兎)という字の中に点を加えれば卵だからでしょうか。兎は一羽二羽と数えるから鳥の卵でしょうか。そんな訳ありませんよね。西洋では、春先に催されるイースター(復活祭)の日に、兎が聖卵(イースターエッグ)を運んでくるとされ、子供たちは卵探しに興じます。春に子を産む多産な兎と、生命の象徴ともされる卵は、繁殖、豊穣、生命、復活再生、を意味するものと考えられたようです。
神使の中には、定番の持ち物として「玉を持つ」ものがあります。龍、狐、蛇は玉(宝珠)を、兎は鞠(まり)を、猿は桃を持っています。
二見興玉神社龍宮社 三重県伊勢市二見町 籠神社眞名井神社 京都府宮津市難波野 伏見神宝神社 京都市伏見区稲荷山
キツネは定番の持ち物として、玉(宝珠)以外に、鍵・稲穂・ 巻物を持っているものもあります。
伏見稲荷大社 京都市伏見区深草藪の内町 寺谷・熊野神社 神奈川県横浜市鶴見区寺谷
最上位経王稲荷社 東京都足立区千住宮元町千住神社内 最上山妙経寺 東京都豊島区上池袋 池上本門寺長榮稲荷 東京都大田区池上
大神(おおみわ)神社 奈良県桜井市三輪 八王子神社内八立龍王神社 大阪市東成区中本
福満弁財天 神奈川県横浜市西区成田山別院内 竹生島白巳大伸祠 滋賀県長浜市 白蛇弁財天 栃木県真岡市久下田
月輪勢至堂 埼玉県滑川町 杉崎神社 福井県越前市杉崎町 淡海国玉神社 静岡県磐田市見付
桃の実は、厄除け厄払いになり、食べると若返りや長寿の功があるとされます。
筑土八幡神社-庚申塔 東京都新宿区筑土八幡町 栄閑院 東京都港区虎ノ門
山脇神社 広島県尾道市東久保町 萩・日吉神社 埼玉県都幾川村 小針・日枝神社 埼玉県行田市小針
以上