虎の像が拝殿前の左右に、阿吽の一対として神使像のように置かれています。 しかし、これら二社の虎は、祭神や神社とは全く縁が無く、 神使ではありません。 「奉納者自身の思い入れ」で「記念」として奉納された像です。                 写真をクリック拡大してご覧ください

拝殿前に動物の像があるからといって、それが即、神使像とは限りません。

 

結婚記念の虎

藤岡・諏訪神社    群馬県藤岡市藤岡甲495番

祭神は、健御名方神(たけみなかたのかみ)と八坂刀売神(やさかとめのかみ)で、諏訪古墳の上に建つ古社。虎像が拝殿前に一対奉納されていますが、祭神や神社はトラとは無縁です。神使ではありません。

この虎像は、陸軍大臣田中義一・文子夫妻が結婚記念に奉納した一対で、文子夫人が当地藤岡の料亭の娘で、寅歳生まれだったことによるとのことです。青山・石勝の作で、「社頭の虎」と呼ばれています。(なお、田中義一は後に、陸軍大将、内閣総理大臣になりました)

藤岡・諏訪神社の拝殿前の虎「社頭の虎」   奉納:大正九年(1920)十月二十九日 石工:青山・石勝

1-1 諏訪神社 社頭の虎

 

1-2 虎虎


朝鮮との交易記念の虎

賀露神社 鳥取県鳥取市賀露町北1-21-8

拝殿前に、地元の住民から奉納された立派なトラ像の一対があります。しかし、当社は、大山祇命、吉備真備命、猿田彦命、木花咲耶姫命、武甕槌命の五柱を祀る古社ですが、いずれの祭神も、トラとは無縁です。トラは神使ではありません。

宮司さんによると、「この奉納者は、大正11年当時、海運業を営んでいて、加藤清正の虎退治でも有名な朝鮮とも取り引きがあったことから、虎像の奉納を思いたったようだ」とのことです。

拝殿前(参道)の虎像  奉納:大正十一年(1922)吉日 秋本岩蔵 前田石工所作

2-1 賀露神社 拝殿前

2-2 賀露神社 虎左右