上野東照宮境内と新宿区役所本庁舎に「ハトの燭台」があります。 この二つの燭台は、 核兵器の廃絶と世界の恒久平和を祈念して、「平和の灯」を灯しつづけています。 ハトは平和の象徴でもあります。

1945年8月6日・9日、広島・長崎に人類最初の原子爆弾が米軍によって投下され、一瞬にして十数万人の尊い生命が奪われました。このとき(67年前)採火されて受け継がれてきた、「広島の火」と「長崎の火」を合わせたのが、これら二つの燭台に灯る「火」です。

 

上野東照宮

                          東京都台東区上野公園9-88 上野恩賜公園内

核兵器をなくし永遠に平和を誓う「広島・長崎の火」

1990年8月

建立:上野東照宮境内に「広島・長崎の火」を灯す会

 

 

 

 

 

 

 

新宿区役所本庁舎・正面入口

                    東京都新宿区歌舞伎町1-4-1

「平和の灯」

1988年7月建立 1986年の「新宿区平和都市宣言」の趣旨を受けて設置された。燭台の下に「平和宣言」がある

 

 

 

 

 

 

 

 なぜハトは平和の象徴とされるのでしょうか

「オリーブの枝をくわえた鳩」が平和の象徴とされています。鳩とオリーブは、ギリシャ・ローマ時代にはすでに平和の象徴とされていたとのことです。

キリスト教世界になってから、鳩が平和のシンボルとされるようになったのは、旧約聖書、創世記8章の「ノアの方舟」に拠るものとされます。「堕落した人類を滅ぼすための大洪水がようやくおさまったとき、ハトを放すと、ハトはオリーブの枝を咥えて帰ってきたので、水がひいて陸地が現れていることが判った」とされるもので、平和と安住と希望をイメージさせる話です。

しかし、古くからあった、このハト=平和のイメージが世界に広まったのは、1949年パリ国際平和擁護会議で、ピカソがデザインした「鳩のポスター」が用いられてからとのことです。、

(左図)鳩とオリーブの「平和記念」切手

ところが、日本では、上記のピカソのポスターより30年も前の1919年(大正8年)に、第一次世界大戦の終結を記念して、鳩とオリーブの図柄の「平和記念」切手が発行されています。このデザインは、当時、世界的にかなり珍しいものだったと思われます。

西洋文明から発生した、鳩=平和というイメージが、世界に先駆けて日本の切手のデザインに採用されていたのは驚きです。大正という時代だったからでしょうか。

大正8(1919)年7月1日発行、平和記念切手は、1銭5厘、3銭、4銭、10銭の4種で、上図はその内の国内書状用の3銭切手です。

 


なお、日本でのハトは、八幡神(八幡宮)の神使のハトです。八幡神はいわば軍神で、当初は戦勝祈願に祀られていました。したがって、極端に単純化した表現をすれば、八幡神のハトは「戦争のハト」で、「平和のハト」の対極ともいえましょう。

神使の館 鳩へ