特に秩父・武蔵地方では、 「お犬さま信仰」に基づくオオカミ像と出会う機会が多いのですが、 「乳房のあるオオカミ像」は武甲山御嶽神社の登拝口の一体(基)しか無いようです。 イタリア・ローマから日本へ友好のシンボルとして贈られた 「ローマ建国神話の狼像」に、 二人の幼児に乳房を含ませ乳を飲ませる雌狼の姿があります。              写真をクリック拡大してご覧下さい

 

武甲山登山口の雌狼像

武甲山御嶽神社 埼玉県横瀬町武甲山頂鎮座、生川登山口

武甲山・御嶽神社の表参道登り口(生川)、二の鳥居(表参道一丁目)の前に、お犬さま信仰(オオカミ信仰)に基づいて奉納された雌雄一対のオオカミ像があります。

写真左 乳房のあるオオカミ像

雌雄一対の片方は、左の写真のように「乳房のある雌オオカミ像」です。

「乳房のあるオオカミ像」は、恐らく全国でもこの像一体だけで、他には無いと思われる珍しいものです。

奉納:昭和14(1939)年9月

なお、この「武甲山のオオカミ像」と次項の「ローマの雌狼像」の狼には、乳房だけでなく、共通して胴にアバラ表現がみられます。アバラ表現は、お犬さま信仰のオオカミ像の典型的な特徴の一つとされています。

 


ローマの雌狼像

双子の幼児に乳を飲ませる雌狼

イタリア・ローマから東京に贈られた、二体の雌狼像があります。寄贈された時期は1938年・2001年と63年も異なりますが、原像を同じくするレプリカで、「日比谷公園」と「味の素スタジオ」にあります。雌狼は二人の幼児(ロムルス、レムス)に自分の乳房を含ませ乳を飲ませています。

この彫像は、ローマ建国の大業を成し遂げたロムルス、レムス兄弟の有名な伝説に基づいた像です。幼い兄弟は、祖父を殺し王位を奪ったアムリウスによってチベル河に流されましたが、忽然と現われた一匹の雌狼に助けられてその乳を飲んで命を取り留めました。後に羊飼いに育てられて成人した兄弟は、祖父の仇を討ちローマを統一したと伝わります。

建国神話の英雄に乳を飲ませる、この雌狼像は、ローマ市のシンボルとされ、市内各所に見られるとのことです。これらの雌狼の原像は、ローマ市のカピトリーノ美術館に収蔵されています。

日比谷公園内の「ル-パロマ-ナ」(ローマの牝狼)

東京都千代田区日比谷公園1-6
日比谷公園内の「ル-パロマ-ナ」(ローマの牝狼)

昭和13年(1938)にイタリアから東京市に寄贈されたもの。 (時代背景:日独伊三国同盟のころ)

 

 

 

味の素(旧東京)スタジアムの「カピトリーノの雌狼像」

東京都調布市西町376-3

 

味の素スタジアムの「カピトリーノの雌狼像」

2001年11月に、東京都・ローマ市友好都市提携5周年および「日本におけるイタリア2001年」を記念して、ローマ市から東京都へ寄贈されたもので、原像はカピトリーノ美術館にあります。

 

付録

乳房のあるキツネ像

千種(ちぐさ)稲荷神社 東京都墨田区錦糸4-15(錦糸公園の一角)

手水舎の柵上にある、雌雄一対の飛び跳ね狐の片方

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