東京と京都に蛸薬師(たこやくし)があります。蛸薬師と呼ばれる由来は異なりますが、共に薬師如来がご本尊です。蛸は吸い寄せる(取り込む・集める)力と吸い取る(除外・取り除く)力を持っているようです。 「付録」の高尾山の蛸は、英語の「オクトパス」から合格祈願の蛸ともされています。

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蛸薬師-成就院

              東京都目黒区下目黒3-11-11tako

ご本尊が、慈覚大師自作の「三匹の蛸が支える蓮華座に載る薬師如来像」とされることから、蛸薬師と呼ばれます。目黒不動尊にも近く、「江戸名所図絵」にも載る寺です

 蛸を断って祈ると、いぼがとれるなど、心願ことごとく成就し、除災長寿のご利益などがあるとされます。また、絵馬などでは、「福(開運・財貨)を吸い寄せる蛸(=多幸)薬師」としてアピールされています。

 

 

 

 

 

由来 約1200年ほど前、遣唐使だった慈覚大師は日本への帰路、海上で大暴風雨に遭った際、自ら刻んだ御持仏の薬師像を海神に献じて危険を逃れ無事帰国されました。その後諸国巡行中に、大師は肥前の松浦で、海上に、さきに海神に献じた薬師像が瑠璃光を放ち、蛸にのって浮かんでいるのに出会われました。この遭遇に大師は大変歓喜されて、目黒の地で、その蛸に乗った像容をそのまま霊木に刻んで、蛸薬師如来として祀られたとされます。

蛸薬師堂-浄瑠璃山林秀院永福寺

                   京都市中京区新京極蛸薬師東側町503番地

ご本尊の薬師如来が「蛸の姿」になって現れたとされることから、蛸薬師と呼ばれます。堂は、京都の繁華街新京極通に面しています。

養和元年(1181年)、室町の林秀という人物が、比叡山で霊夢に現れた延暦寺の薬師如来のお告げで、伝教大師の彫った薬師如来石像を持ち帰って祀ったのが永福寺の始まり。蛸薬師と呼ばれるようになったのは、建長年間(鎌倉時代)以降のことで、「タコを買った親孝行な僧」のために、本尊の薬師如来が蛸に化身して現れたことに由来するとのことです。

ここの蛸は、撫でたり手をかざすだけで、病を癒し苦患を吸い取るご利益があるとされています。

 なで薬師(御賓須蘆蛸)—– 左手で触れると全ての病が癒されるという

 

 

 

 

 

 

 

    ()「手をかざしてください、苦患を吸い取る蛸」

 

 

 

由来 善光と言う僧がこの永福寺に病気の母親を引き取って日夜看病をしていたが、病気は悪くなる一方でした。せめて最後に、母親の好物の蛸を食べさせてあげたいとの一心から、善光は魚肉を禁じる僧の戒律を破って蛸を市で求めて箱に入れて寺に持ち帰りました。しかし、これを見ていた人々から門前で、善光は破戒僧!と責められ、箱の中身を見せるよう強要されました。箱を取り上げられた善光は、「どうしても母親に蛸を食べさせてあげたい」と、寺の本尊の薬師如来に一心に念じました。いざ、箱が開けられると、中身の蛸は、八つの巻物(経典)になって光輝いていたのです。「南無薬師如来!」と善光が唱えると、巻物はもとの蛸の姿になって門前の御池に飛び込み、瑠璃光を発して薬師如来となり、その瑠璃光に照らされて母親の病は癒えたということです。以来、興福寺の薬師如来は、「蛸薬師」と呼ばれて人々に崇敬されました。


付録

高尾山の蛸

高尾山薬王院には、参道の「蛸杉」八王子市指定・天然記念物)に因んだと思われる、タコの縁起ものがあります。

高尾山薬王院 東京都八王子市高尾町2177

 参道の蛸杉     所在は高尾山参道、高さ37m、幹周り6m、樹齢約450年。

 

「蛸杉」とは、「昔、参道を作るのに際して、根が邪魔になるので伐採しようとしたら、一夜にして根が後方に曲折した」との伝説とその根が「蛸の足」に似ているところから呼ばれるようになったとのこと。

 

 

      蛸杉周辺の蛸関連の碑

            左-開運ひっぱり蛸
            右-蛸供養碑

 

薬王院山門内

弘法大師像の足下に設えられた合格祈願所:金色の蛸が置かれていて、柱には「開運合格鉄蛸」、前の賽銭箱の鉛筆には「学業成就」とあります。

 

 

 

揚げて開運、置くと合格オクトパス

 

「木彫りのたこを持ちあげて、お大師さまに一心に祈念し、また元の場所に戻してください」

合格祈願

 

 蛸は英語でオクトパス

 

 

 

 タコのすべり台

 恵比寿東公園 東京都渋谷区恵比寿1-2-16

イボの所が登り通になっていて、塩ビのような素材で造られていてプニュプニュしている。

タコのすべり台r02#

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