傷みがひどくなると、 古い像(先代)は引退させられて 境内の片隅に移されたり、 廃棄処分にされたりします。そして、通常、入れ替わりに新しい像が置かれます。 その際、先代のそっくりさん(=前にあった像の像容を模写、復刻した像)が置かれる場合もあります。
日本参道狛犬研究会の会報「狛犬の杜」98号(2013年12月18日刊)の三宅さんの記事で、調神社(さいたま市浦和)の社頭にあった万延2年のウサギ像が世代交代したことを知りました。このウサギは、「めったにない珍しい兎像」として多くの人に長年親しみ馴染まれてきた像でした。
そこでこの機会に、神使像のうち、手元にある「そっくりさん」をその原像である先代と並べて見ました。出来の良し悪しはともかく、先代像の雰囲気は伝わってきます。左が現在の像(そっくりさん)、右が先代の像(原像)です。(対の片方の像のみ) 写真はクリック拡大できます。
調(つき)神社 埼玉県さいたま市浦和区岸町3-17-25
新像:社頭(平成25年4月23日複製)披露は2013年11月 先代像:万延2年3月の像(境内拝殿の前方の舎)
橘樹(たちばな)神社 神奈川県川崎市高津区子母口
新(左)像:拝殿正面前(平成2年10月) 先代(右)像:日本武の松裏(明治13年9月)
日本武尊の神使、オオカミ
宮益・御嶽神社 東京都渋谷区1丁目1
新(左)像:神殿前 昭和55年(1976) 先代(右)像:社務所内 (江戸時代作)
許曽志(こそし)神社 島根県松江市古曾志町字松尾466
新(左)像:拝殿前 平成4年(1992) 先代(右)像:拝殿横の空き地 (文化年間作)
アメノウズメ命の神使、ニワトリ
許曽志(こそし)神社 島根県松江市古曾志町字松尾466
参道階段 新(左)像:平成8年(1966) 先代(右)像:文化13年(1816)
亀有地区の鎮守、香取神社の神使、カメ
亀有・香取神社 東京都葛飾区亀有3-42-24
新(左)像:鳥居前(平成21年-2009年) 先代(右)像:旧社殿の棟の亀形瓦(万延元年-1860年建立)
「葛飾区郷土と天文の博物館」に寄託
高龗神(たかおかみのかみ)の神使、和犬
大宮神社 栃木県塩谷郡塩谷町大宮2325
新(左)像:拝殿前(明治37年-1904年) 先代(右)像:拝殿の横側後方(年代不明)
不動尊のお使い、ニワトリのレリーフ
目黒不動尊 東京都目黒区下目黒3-20-26
階段登り口右手 新(左)像:平成24年(2012) 先代(右)像:(年代不明)
稲穂をくわえる狐
伏見稲荷大社 京都市伏見区深草藪之内町68
納札所手前にあった原像(稲穂をくわえる狐)が、体は黒く稲穂と宝珠は金色に、見違えるほど化粧直しされて拝殿前の晴れ舞台に移設され、移された原像の跡(後)にそっくりな新像が置かれました。
新(左)像:納札所手前から拝殿前へ化粧直しされて移設された像 原(右)像:納札所手前から拝殿前へ移設(上記新像の原像) (左右、元は同じ像)
新(左)像:先代像が本殿前へ移設されたので、その後に置かれた像。何をくわえているか判りにくかった稲穂がよく判る。新像とはいっても昭和58年(1983)奉納のものでどこか他所にあった像がここに移設されたのでしょう。 原(右)像:納札所手前から拝殿前へ移設された像