横浜中華街の10基の門、牌楼
横浜中華街には10基の門がありますが、これらは正式には牌楼(ばいろう、はいろう)と呼ばれています。最初に建てられた牌楼は、中華街中心部への入口にある「善隣門」(下図)で、初代は1955年築、現在のは1989年に再築されたものです。その後、牌楼は順次増えて、2003年の朝陽門の竣工で東南西北の4基の門もそろい、計10基になりました。中国独特のデザイン、彩色、装飾が施されていて、その絢爛豪華な門容は中華街のシンボルとなっています。これら門は、来訪者を歓迎するとともに、外部からの邪気の侵入を防ぎ内側の街に平穏・繁盛・隆盛をもたらし、さらに文化継承の役割を担っています。 (クリックすると拡大写真になります)
横浜中華街の10基の門(牌楼): 東の朝陽門、南の朱雀門、西の延平門、北の玄武門、善隣門、天長門、地久門、市場通り門(2基)、西陽門
(下図は善隣門)
東南西北の門の四神が街を守護
特に、善隣門を囲むように東南西北に建つ4基の門は、中国の陰陽五行説による風水思想に基づいて設計されたもので、特別に重要な意味合いを持つ門とされます。各門には、方位の四神(青龍神、朱雀神、白虎神、玄武神)が配され、厄災の侵入を防せいで街を護り、街の人々に”幸”や”福”をもたらします。なお、牌楼の門札は、いずれも、外側(外面)に表札として「中華街」、内側(内面・街側)に「門名」の額が架けられています。
(上図を参照)
陰陽五行説や風水は「万物の事象・自然(空間・方角、時間など)との調和」をベースとしているので、方位を中国流に東南西北の順に並べると判りやすいようです。中華街の東南西北の四門の守護神は、東=青竜神、南=朱雀神、西=白虎神、北=玄武神で、門の色彩は、それぞれ、青、赤、白、黒を基調としています。東南西北の各守護神は、太陽の運行に順じて、朝、昼、夕、夜を入れ替わり担当して、街を24時間(四六時中)守護しています。同様に、それぞれが、年の季節の移ろいに順じて、春、夏、秋、冬の各季を担当して一年を通して街を守っています。
- 青龍神は 東、春、朝 ・・・芽吹き、光明、前兆、端緒、未来、希望
- 朱雀神は 南、夏、昼 ・・・開花、上昇、盛隆、発展、開運、繁栄
- 白虎神は 西、秋、夕 ・・・結実(結果)、豊穣、収穫、満足、安寧
- 玄武神は 北、冬、夜 ・・・備蓄、守護、堅牢、持続、待機
以下、東南西北の各牌楼の守護神(神獣)の図に注目してみてみました
(チョウヨウモン)
守護神は青龍、彩色・色調は青
(スザクモン)
守護神は朱雀伸、彩色・色調は赤
(エンペイモン)
守護神は白虎神、彩色・色調は白
(ゲンブモン)
守護神は玄武神、彩色・色調は黒
参考 中華街の中国獅子
➀ 門の案内石板を背負う中国獅子
中国獅子が、横浜中華街を護る東南西北の「牌楼」(門)の案内石板を背負っています。それぞれの門の傍らにあり、4基とも同じ仕様に造られています。
② 横浜関帝廟(かんていびょう)の中国獅子
③ 横浜媽祖廟(まそびょう)の中国獅子
④ 山下町公園(曾芳亭)の中国獅子
⑤ 善隣門の屋根飾り