ザクロ(石榴)はペルシャ・西アジア原産とされます.。ザクロの実の中には、熟れると宝石のように美しいたくさんの小さな粒があり、その一つ一つに種子が入っています。このことからザクロは、古くから子孫繁栄をあらわす縁起のよい果物として「吉祥果」と呼ばれ、ヒンズー教徒の聖木とされ、花や実はヒンズーの神々の供物とされてきたとのことです。

インドの女神で、梵名ハーリティー=訶梨帝母(カリテイモ)とよばれる鬼子母(きしも)神や、梵名マハーマーユーリーと呼ばれる孔雀明王は、共にこの吉祥果(ザクロ)を持っています。

 

鬼子母神(きしもじん)

鬼子母神は、インドの夜叉神の娘でカリテイモ(訶梨帝母)と呼ばれ、その性質は暴虐で近隣の幼児をとって食らうので人々から恐れ憎まれていました。そこでお釈迦様は、カリテイモの千人の子の内、末の子を隠して子を失う親の悲嘆を味あわせ戒めました。過ちを悟ったカリテイモはお釈迦様に帰依し、子宝・安産・子育(こやす)の神とされるようになりました。

ザクロは、人肉の味・子宝の象徴

カリテイモは幼児を食べることをやめると誓って帰依したのですが、その時、お釈迦様は幼児を食べたくなったら、代わりに人肉の味に似ている「ざくろ」を食べるようにといわれたといいます。 (余談: もし・・・ザクロが人肉の味に似ていると判る人が身近に居たら怖いですね)

また、吉祥果ともよばれる「ざくろ」の果実は、種子が多く、子宝・安産・子育・子孫繁栄・豊穣に通じるとして鬼子母神の象徴とされるようになりました。

 

雑司が谷・鬼子母神   法明寺鬼子母神堂 東京都豊島区雑司ヶ谷3-15-20

雑司ヶ谷・鬼子母神像は、鬼形ではなく、羽衣・瓔珞を着け、ざくろ(吉祥果)を持ち幼児を抱いた菩薩(天女)形の姿をしているとのことです。

ザクロ(石榴)

上述のとおり、「ざくろ」は子宝・安産・子育ての鬼子母神の象徴とされ、堂紋として境内の様々な所にみられます。いずれの図もざくろの実の中の種子が強調されています。本堂には願い事を書いた「ザくろの絵馬」がたくさん奉納されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

孔雀明王

インドの国鳥でもある孔雀は、優美で気品がある姿に似合わず、サソリやコブラといった人間に有害な毒虫・毒蛇・毒蜘蛛などを好んで食べてくれるので益鳥とされています。このことから、孔雀を神格化した「孔雀明王」は、諸々の毒を取り除く神と信じられ、人々の厄災や苦悩を除き、さらには、人間の煩悩を取り祓う功徳をもつとされます。また、魔を喰らうことから除魔法、雨を予知する能力があるとされることから祈雨法(雨乞い)も孔雀明王を本尊としてなされるとのことです。

孔雀明王像・・・観音寺 (般若山長寿院)

         埼玉県飯能市山手町5番17号

孔雀明王は、尾を光背のように広げた孔雀に載り、宝冠を頭に首飾りをした女性仏で、「仏母大孔雀明王」などともよばれます。一般に明王と名のつく仏は憤怒の形相をしていますが、唯一、孔雀明王だけが慈悲をたたえた表情をしています。

吉祥果も持つ

四本の手(四臂)があります。持ち物は、第一右手に仏の慈悲を表す蓮華、第二右手に食すと元気になる倶縁果(ぐえんか)、第一左手に魔を祓い吉祥をもたらすという吉祥果(きっしょうか・ザクロ)、第二左手に厄災を消除する力を持つ孔雀の尾羽をもっています。