平成28年(2016)、申年に因んで、 猿の話題をお送りします。

 「扇を持つ猿」、 「恩返しした猿」、 「論語を読む猿」をご覧ください。

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扇を持つ猿

扇を持ち、謡って、舞い踊る ”おめでたい” 猿をピックアップしました。

 

  猫実の庚申塔(浦安市猫実)  山脇神社(尾道市東久保町)   大豊神社内日吉社(京都市右京区)
       明治33年(1900)         弘化2年(1845)         昭和47年(1972)

謡って舞うサル

 

 

 庚申塔の踊る三猿

 

御霊神社(鎌倉市坂ノ下) 文政8年(1825)

  拍子に合わせて舞い踊っています

御霊神社サル

宗健寺(青梅市千ケ瀬町) 文化9年(1812)

扇を持って踊っていますが、言わざる、聞かざる、見ざるになっています。

宗建寺サル

 

 

恩返しした猿

松源寺(猿寺) 東京都中野区上高田1-27-3
和尚に助けらた猿が和尚を水難から救って恩返しをしたはなし
松源寺がまだ今の新宿区神楽坂にあった元禄のころ、境内に猿が来てはいたずらをしていました。目に余るいたずらではないので住職は猿をそのままにしていましたが、住職の留守に小僧たちが猿を捕まえて、売りとばそうとしていました。出先から戻った住職が、小僧たちに小遣をやって猿を放すように言っていると、通りかかった武蔵屋の主人が「私が大切に育てます」とその猿を譲り受けて帰っていきました。
松源寺の猿
それから一年ほど経ったころ、松源寺の住職が向島の檀家の法要で隅田川の渡し場から舟に乗ろうとしていると、猿が追いかけてきて、法衣を引っ張って乗せようとしません。そうこうする内に、舟は出てしまいましたが、その舟は川沖で転覆してたくさんの乗客が溺れ死ぬ事態となりました。住職はすっかり忘れていましたが、その猿は以前に住職が助けて、武蔵屋が引き取った猿でした。「猿は住職を渡し舟の災難から救って恩返しをした」と評判になりました。
寺は「猿寺」と呼ばれるようになりました。その後寺は現在の場所に移りましたが、門前に、「さる寺」と彫った台石に猿の石像を載せた碑が建てられています。

論語を読む猿

本法寺  熊本県熊本市花園4-13-1
本法寺は初代熊本藩主、加藤清正公の菩提寺で公の廟所、浄地廟があります。

本法寺の猿

論語と筆を持つ猿

境内にある「論語猿」は、加藤清正公の逸話に因る猿で、「論語」と「筆」を持っています。このお猿さんの頭をなでると、勉強が好きになれるとの言い伝えがあり、猿の頭は撫でられて黒光りしています。

ある日「論語」を読んでいた加藤清正公が所用で部屋を出ると、飼っていた猿がご主人のまねをして、墨のついた筆を持ち、「論語」にいたずら書きをして本を汚してしまいました。やがて、戻った清正公は、猿を叱るどころか頭をなでて、「お前は猿なのに、そんなに勉強がしたいのか」と、猿をほめてやったということです。

 

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