十二支は動物で表現されるので、 様々な場面に、像、彫刻、画図などとして登場します。 十二支の「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥」のそれぞれに対応する動物は、 日本では「鼠牛虎兎龍蛇馬羊猿鶏犬猪」とされています。十二支は、干支の年を表すだけではなく、時刻、月、季節、方位、方向などにも関連付けて用いられています。
私の出会った十二支を並べてみました。それぞれに味わいがあります。
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川越大師「喜多院」 埼玉県川越市小仙波町1-20-1 写真下 ヒソヒソ話をする羅漢
五百羅漢場の十二支
喜多院は、「星野山無量寿寺喜多院」という天台宗の古刹です。この寺の五百羅漢場には、538体の羅漢像が並びます。羅漢とは、阿羅漢を略したもので、煩悩を断ち悟りをひらき、尊敬や施しを受けるのに相応しい僧(聖者)をいい、仏教の修行の最高段階にあるものを指します。ところが、ここの羅漢像は、その仕草の一つ一つがあまりに人間的、庶民的で、ユーモアと笑いのある個性的な像ばかりです。天明2年(1782)から文政8年(1825)の約50年に亘って、多くの人の手で建立されたものです。これらの羅漢像の中から、十二支の動物を持つ羅漢さんを探してみました。 写真をクリック拡大してご覧下さい
高尾山薬王院有喜寺 東京都八王子市高尾町2177 十二神将十二支・方位塔
奉納 平成十五年四月 京王電鉄株式会社
境内に「十二神将十二支・方位塔」が奉納されています。十二神将は、薬師如来の周囲を守護する十二体の神将です。十二神将は、それぞれ十二支と関連付けて信仰され、十二支が示す、それぞれの時刻や方位、干支年を守る守護神とされています。 この高尾山の方位塔では、特に、十二の方位を守る神将として、対応する十二支の方位に合わせた動物が配されています。
左から ( 神将 方位 干支)
1願目 毘羯羅大将 北 子神、 招杜羅大将 北東 丑神、 真達羅大将 東北 寅神
2段目 摩虎羅大将 東 卯神、 波夷羅大将 東南 辰神、 因達羅大将 南東 巳神
3段目 珊底羅大将 南 午神 、 あに羅大将 南西 未神、 安底羅大将 西南 申神
4段目 迷企羅大将 西 酉神、 伐折羅大将 西北 戌神、 宮毘羅大将 北西 亥神
虚空蔵尊大満寺 宮城県仙台市太白区向山4-4-1 本尊の虚空蔵尊は丑寅年生まれの人の一代守り本尊です。従って、十二支像は牛と虎を真ん中に、左右に5体ずつ横に並べられています。猿(左端)から始まって羊(右端)の順に十二支が置かれています。牛虎以外の像にも、それぞれの干支生まれの人が奉納に名を連ねています。
盛岡八幡宮 岩手県盛岡市八幡町13-1 左右二基一対の立派な青銅燈籠が奉納されています。各基の六画形の中台に六支ずつ計十二支の動物が鋳造されて
います。
文化九年(1812)奉納、城下町の町人達
鋳工:盛岡住 藤田善兵衛秀彭・善蔵情有
武蔵野稲荷神社 東京都練馬区栄町10-1 立派な随神門の長押の四面に、十二支の動物が彫られています。四面に三体ずつ。 十二支の並び順が通常とは異なっていて、なにか意味のあるグルーピングになっているように思われます。例えば、鶏兎犬は庭先で飼えるもの、羊牛馬は小屋で飼うものなど・・と。
毘沙門天「妙法寺」 静岡県富士市今井2-7-1 享保4年(1719)開基。日蓮宗 香具山。この社の主神毘沙門天像は、聖徳太子の御作と伝わり、聖徳太子の肩の上に立たれた像とのこと。古くから富士信仰が行なわれ毘沙門堂は富士登山修験の道場だったとのことです。境内には和風・中国風・インド風の様々な建造物が並んでいます。 (写真右) 境内の「お身拭い毘沙門天」像の台石の周りに、十二支が彫られています。
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鳳来寺 愛知県新城市門谷字鳳来寺1 天竜奥三河国定公園、鳳来寺山(695m)。山頂付近には、鳳来寺と東照宮があります。 古代山岳修験道のメッカとして、また真言宗五智教団の本山として、信仰を集め続けてきた鳳来寺山。仏法僧(ぶっぽうそう)とも呼ばれ、愛知県の鳥にもなっているコノハズクの生息地としても知られています。
道標の十二支像
鳳来寺山登拝口(門谷)(写真左)から、1215段ある御坂石段の始まる地点(写真右)までの約1200mの表参道の道筋に、100m ごとに、子から始まり亥で終わる十二支を彫ったの石の道標があります。門前町の門谷集落の中を抜けて最後の亥の道標の先から、1215段の石階段を40分ほどかけて登りきると鳳来寺です。さらに15分で東照宮。
平城宮跡・復原第一次大極殿 奈良県奈良市佐紀町 奈良市の平城宮跡に復原された第一次大極殿は、当時、平城宮の中心の建物で、天皇の即位の儀式や外国使節の謁見など、主要な国家的行事を行う際に使われた最も重要な建物でした。 復元された大極殿の内部の上壁面には、花鳥画で知られる日本画家、上村淳之(あつし)氏の制作による、方位の守護神「四神」と「十二支」の壁画が描かれています。(2010年4月公開) 「十二支」について、上村氏は「穏やかで、優しさも感じられるように表現した」と語っておられるとのことですが、そのとおりの印象をうけました。
(注:以下の画像は、コンパクトデジカメで撮影したもので、色調・撮影角度などから、原画はそのまま忠実に複写されていません)
銀座地下歩道【銀座4丁目(東京メトロ銀座線日比谷線「銀座駅」)と三原橋・東銀座(都営浅草線「東銀座駅」)を結ぶ地下歩道】に、十二支の丸彫り動物石像が置かれていて歩行者の目を楽しませてくれます。この間の往路復路で24体(12x2)の十二支像があります。簡易ギャラリ-もあります。
小倉神社 京都府乙訓郡大山崎町円明寺鳥居前83 十二支の動物像は、樹が茂って木漏れ陽しか入らない脇参道にずらりと並んでいます。これらの像はいずれも、背景の彫刻とも一体となって、動きがあり、ユニークで楽しい像です。
沙沙貴神社 滋賀県蒲生郡安土町常楽時1
本殿の裏に、横一列に干支の石像が並んでいます。岡崎の彫刻家、中嶋登茂美氏の作。最近(平成20年前後)造られた像で、癒し系、親子連れの像が多い。各像には作者の言葉が添えられています。各干支生まれの人が連名で奉納。
東京駅舎ドーム天井のレリーフ 東京都千代田区丸の内一丁目 2012年10月1日に、 東京駅丸の内駅舎が開業当時(大正3年)の姿に復原されました。 南北のド-ムも復原され、 ドーム天井の鷲や干支のレリーフも再現されました。干支のレリーフは、駅舎の設計者である辰野金吾が自らデザインしたものです。 東京駅舎ホールの天井は八角形なので、それぞれの角に八つの干支のレリーフがあります。干支(十二支)は方向・方位を示しますが、ドーム天井は、八角なので、真北、真東、真南、真西にあたる、子、卯、午、酉を除外した他の八つの干支がレリーフになっています。除外された東西南北の干支は、辰野金吾が設計した佐賀県武雄市の「武雄温泉楼門」の天井の四隅にあることがわかりました。
成田山新勝寺 千葉県成田市成田1番地 JR・京成・成田駅からの成田山新勝寺への表参道、上壱番町の開運通りの両側に十二支像が置かれています。 外国からの観光客が「ベリーキュート」と写真を撮っていました。